ホロコースト記念碑(虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑)

PLACEText: Yoshito Maeoka

その一方で、地下の情報センターでは写真とテクスト、そして資料を中心にナチスの絶滅政策、その当時のユダヤ人の記録等を様々な角度から検証した展示を見る事ができる。検証はユダヤ人の歴史そのものにまで遡るため、迫害前後のコントラストから迫害のもたらした歴史的な意味合いを理解する事ができる。

ところで、多くの人が疑問に思うに違いない事が一つ挙げられる。この施設がユダヤ人にのみ捧げられていると言う事である。ホロコーストでは当然の事ながらユダヤ人以外にもシンティ、ロマ、そして同性愛者や政治犯も犠牲となっている。これらは別の形で記念碑を建てるよう既にドイツ連邦議会で議決済みである。ここでは、ヨーロッパのユダヤ人大量虐殺、という他に類を見ない犯罪を犯したドイツ国家の歴史的責任を認める事が重要視されている。その他の歴史認識に関してはまた別の形で実を結ぶ事となる予定である。

施設はベルリンの中心部に位置する。側には主たる観光スポットであるブランデブルグ門、ホテル・アドロン、ライヒスターク(国会議事堂)があり、各国大使館、各種文化施設、オフィス、住居、ティアーガルテン公園に隣接している。この事は、記念碑が社会に開かれている事を示している。ドイツ国民はもちろんの事、近い将来この施設も多くの観光客の訪れる重要な歴史的遺産となるに違いない。

Holocaust Memorial
住所:1 Cora-Berliner-Strasse, 10117 Berlin
http://www.stiftung-denkmal.de

Text: Yoshito Maeoka
Photos: Yoshito Maeoka

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