「アート・ミーツ・メディア:知覚の冒険」

HAPPENINGText: Yasuharu Motomiya

また、ラファエル・ロサノ=ヘメルもサウンドと空間を用いたインスタレーションだが池田亮司とは全く違った内容。


「フリークエンシー&ヴォリューム」ラファエル・ロサノ=ヘメル, 2003

「フリークエンス&ヴォリューム」は大きなライトで観客の影を浮かび上がらせ、その影が公共空間に存在する様々な無線の周波数をリアルタイムでスキャンし部屋に設置されたスピーカーからその周波数の音を放送するというもの。影の大きさで音量も調節でき、まるで自分自身が無線機になったような錯覚に陥る。


「フリークエンシー&ヴォリューム」ラファエル・ロサノ=ヘメル, 2003

彼はその日に行われたアーティスト・トークでも、カナダからインターネットで参加し、過去のプロジェクトについて説明していた。例えば、山口情報芸術センターで行われた「アモーダル・サスペンション」についてその作品に反映された歴史的背景や、アートと公共性についての興味深い説明などを行った。モニター越しに会場の聴衆との質疑応答などを見ていると、物理的な距離を越えたコミュニケーションが現在では普通に成立していることを実感した。


「ヴィニールヴィデオ」ゲープハルト・ゼングミュラー, 1998-

ゲープハルト・ゼングミュラーの作品「ヴィニールヴィデオ」は、テレビが開発され、現在ぼくらが使用している状態に至る過程で、もしかしたらこんなものができていたかもしれないという仕様を、メディア・アートというフォーム上で再現し、現在は音だけを扱っているヴィニールレコードを映像も記録・再生できる装置に作った。

彼もアーティスト・トークに参加し、この作品について詳しく説明していた。展示されている作品「ヴィニールヴィデオ」のブースはまるでレコードショップのようで、作られた「ヴィニールヴィデオ」専用のヴィニールレコードのジャケットも実際に売っているのではと思わせる精巧な作り。

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