ベンジャミン・モーガン「クオリティ・オブ・ライフ」

HAPPENINGText: Mark Buswell

ベンジャミン・モーガン(彼も一時サンタクルーズの住人だった)監督、そしてバーンハムも共同で脚本を書いた本作は、サンフランシスコのミッション地区に実在するもっとも有名なグラフィティアーティストのマイケル・ロサリオとカーティス・スミス2人についての物語である。

2人がもっとも君臨している時勢に、彼らはグラフィティ行為によって逮捕されてしまう。刑務所にいる時期と向かい合い、彼らは創作について混乱をきたし、それから次のステップとしてどうあるべきか、今後も2人で活動を続けるべきか、あるいは別々に活動を展開するか、など極めて感情的に結論をつけようとする。映画の核心に近づき、物語はドラッグや売春と共存しているアメリカの大部分とある一定のまとまりをもったグラフィティの中に存在する “クオリティ・オブ・ライフ(=生活の質)” の原理を問う。

モーガンは、この映画の大意をこう説明する。ギャング撲滅運動はコミュニティの根源の欠乏を決して意味しないし、機会はいつもギャングが横行しているエリアから生まれる。同様に、落書きされた壁を塗り替えてきれいにすることは、特にアメリカのように反抗と言論の自由のもとに成り立っている国においては、個を表現し、自己主張したいという根源的な欲望を取り除くことにはならない。

この映画は政治的な領域まで共鳴しているが、単純に物語としても十分に魅力的だ。バーンハムやモーガン、それからそれぞれのガールフレンドや父親を演じている俳優たちは、驚くべき表現力でそれぞれの登場人物を演じている。ミッション地区で5年、サンフランシスコに8年過ごしたあと、それぞれの登場人物は、彼らがコミュニティーの中でもがいているままの実物どおりの態度と様相を帯びていた。

本作は、今度は海を渡ってストックホルムに行き、そしてスペインのヒホン国際映画祭(ここでは、既にチケットが完売になっているのだが)に行くことになっている。この映画は映画祭においては成功を収めているのが、彼らはいまだに配給に際しての資金難を抱えている。もしあなたが彼らに協力したいと思えば、彼らのウェブサイトのコンタクトコーナーからアクセスしてみてはどうだろうか。

Quality of Life
監督:ベンジャミン・モーガン
team@qualityoflife-themovie.com
http://www.qualityoflife-themovie.com

Text: Mark Buswell
Translation: Ryoko Ogino
Photos: Dave Schubert © Quality of Life Film, LLC

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