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4U ラグ展

HAPPENINGText: Yuki Ishida

さらに、宇川直宏とのトークショーでは、「金魚」に込められたその意味を語った。そもそも田名網は、現在金魚は飼っていないし、好きなわけでもなく、戦争時に見た、照明弾にきらめく水槽の中の金魚が今でも印象的なのだという。彼にとっては日常化された戦争のイメージが「金魚」であり、本展のテーマと重なる部分があったのかもしれない。


「WAR RUG」

それは単に、“戦争の国”というイメージではなくて、今回のプロジェクトのきっかけとなった「WAR RUG」と呼ばれるラグの存在がある。これは、戦争を直接的に批判するデザインが織り込まれた「画報」の意味合いが強く、誰の作品かはわからない。半永久的な耐久性をもつラグに込められたそのメッセージは、見る人に強く、そして長く届けられる。直接的ではないにしても、田名網作品の根底に流れるテーマはまさに「日常化された戦争」であり、難民キャンプなどで織られたという「WAR RUG」と近しいメッセージが込められている。

一方、コンドームをかぶったノンノンをデザインした宇川直宏は、コンセプチュアルなその作品についてのテーマを語った。コンドームを使わない国でどのようにそれが表現されるのか。


宇川直宏

アフガニスタン・ラグの特徴である草木染めでは出ないビビッドな色(※合成染料によって染色)をあえて用いることで、化学兵器の脅威におびえる同国の反米、反戦メッセージを逆説的に伝えようという試み。ラグの周囲に配された、ノンノンのしっぽに見立てたポンポン(フサ)。そして、あれだけ流行っていたのに、いろんなニュースに埋もれて報道される機会が極端に減少しているHIVを暗示し、ニューストレンドに対するアンチテーゼをも示していると言うのだ。もはや言うことはない。お見事。


白根ゆたんぽ

白根ゆたんぽの作品、モチーフは髪の毛(!?)。ラグとしての完成形を考えるよりもむしろ、本来の“生活に密着した道具である”という部分に着目し、『金髪、ブラウン、ブルネットなどのいろいろな髪の色は人種を表していてそれが同じ平面にならんだ絵面で平和な感じを表現してみたり、まあそんな平和な世界中の女性の髪の毛の絵面の上でゴロゴロしたいですね。ってな感じ』なのだそう。

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