新矢千里「想像する物語」展

HAPPENINGText: Naoko Fukushi

新矢と太公良は、それぞれ自分のマックに様々な素材を準備してきており、約10分交代でプロジェクタと接続されているマックの前に座り、それぞれの素材をコラージュしていき、もう1台のマックで待っている間は、その場で部品を作ったりもしていた。側で見ていた私は、幼い頃に良く見ていた子供向け番組のお兄さんとお姉さんを思い出してしまった。目の前で、おとぎの世界に迷い込んでしまったような絵ができあがっていく様子を見ていて、とてもワクワクしてしまった。

制作を続ける2人もお互いの予想できない展開もあったのかもしれない。様々な表情を見せながら、創作を続けていた。観客も、完成する絵がどのようなものになるのかという期待とともに、何かストーリーが隠されているかのようにも見えるこの絵に、物語を想像していた人もきっといるはず。

ファンタジックなおとぎの世界に入り込んでしまったような感覚を与えてくれた要素として忘れてはいけないのが、浜里の音の演出だ。2人が作り上げていくイラストの展開に合わせて、かわいらしい音、ちょっとミステリアスな音、そして時には、電子辞書の発音機能を使って色の名前やカタチなどのグラフィック用語を連発したりもしていた。後で、新矢と太公良に聞いてみると、「紫は、今使いたくないけど、でも紫って言ってる!」というように、かなりその声に影響を受けたようだ。

物語のラストでは、大きな黒い魔物(?)がスクリーン上に現れ、終わりを告げた。カラフルな世界の中に現れたその魔物と共に、観客それぞれの心の中でも十人十色の物語の結末があったに違いない。

新矢千里展覧会「想像する物語」
会期:2004年3月1日(月)〜30日(火)
営業時間:11:00〜21:00
会場:SOSO CAFE(ソーソー・カフェ)
住所:札幌市中央区南1西13 三誠ビル1F
入場無料
TEL:011-280-2240
https://www.shift.jp.org/soso/

Text: Naoko Fukushi
Photos: Naoko Fukushi

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