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マッシミリアーノ・ジオーニ

PEOPLEText: Roberto Bagatti

村上隆はルイ・ヴィトンのデザインを手掛け、マイク・ケリーは、自身のレーベルを持ち、そしてここでは、若手アーティストのグループが街中をポスターで埋め尽くしたりなど、アートは今日、多くのクリエイティブな分野と密接な関係を持っています。このような動きが、アートに革命を起こすと思いますか?

優れたアートというものは、遅かれ早かれ、人々に訴えかけることができるものだと思います。ピカソやウォーホル、クーンズを考えてみてください。トラサルディ財団から実際、このような件で依頼を受けた事があります。昨年、街中で開いた初めてのイベントで、マイケル・エルムグリーン&インガー・ドラッグセットが、ミラノの中心であるガレリア・ヴィットリオ・エマニュエーレで、一晩限りのインスタレーションを行いました。それは、本物の車が、地面からトレーラーを引きずりだすというものでした。彼らは、グローバリゼーションと遊牧生活へのメッセージを表現したそうですが、それを実際に見た人が全員そのメッセージを読み取ってはいないでしょう。おそらく、現代アートとは、こういうものだと思います。解釈は何通りもあるのです。


Michael Elmgreen & Ingar Dragset, Short Cut, Ottagono, Galleria Vittorio Emanuele, Milan, 2003, Photo: Giulio Buono © Fondazione Nicola Trussardi

今日の現代アートと、グラフィックデザインを代表とするコマーシャルよりなメディアとの境界線についてはどう思いますか?

アートが他の手法を吸収していく一方で、メディアや広告も、アートから様々な手法を吸収する。それがどちらから始まっているのか、ということに興味はありません。本プロジェクトは、一般の人の関心とアーティストの作品とが触れ合える機会を試す、小さなプロジェクトです。音楽などの世界で、「ストリート・クレディビリティ(ストリートでの信頼性)」という素晴らしい表現があります。私達は、現代アートでそういう位置にありたいと思います。

アートを公共のものにしようというアイディアは、興味深いですが、それも今回のプロジェクトの背景にあるアイディアの一つなのでしょうか?

どちらかというと、一種のディストリビューション(流通)のーつだと思っています。作品を見てもらうのに、いつも美術館やギャラリーが必要なわけではない、ということです。私達は、アートを頭の中に記憶やビジュアルとして持ち歩いている。そして、それを道ばたでも見つけるかもしれない。それだけのことです。

Text: Roberto Bagatti
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Marco De Scalzi, Courtesy of Fondazione Nicola Trussardi

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