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エル・コレクティボ・デ・ジュリアン

PEOPLEText: Gisella Lifchitz

音楽との出会いはどのように?

子供の時、僕は幼いレコードフェチだったことを覚えています。一度、レコードが太陽の熱で溶けてしまい、その姿があまりに恐ろしかったのを覚えています。木の周りで、自分がレコードになったつもりで走り廻ったこともあります。僕の兄が、家でディスコミュージックのパーティーを開いており、その当事6歳だった僕には、ワンダフルワールドでした。15歳の時、ピアノを始め、その後自分で曲を作るようになりました。

CDはどのように、販売するのですか?

多くのインデペンデントなバンドを抱える、比較的新しいレコード会社、「インデペンデント・ミュージシャン・ユニオン」と契約しています。素晴らしいアイディアを持ったレーベルです。

何か背景に隠されたメッセージはあるのですか?

コンサートでも、生活でも受動的な姿勢には反対です。本物の人生は、コンサートの外で起きている。だからこのアルバムを通して、それを伝えたいと思っています。

信じられないくらいに素直な詩と、控えめなのに深い意味をもつ言葉で表現する彼らのアルバムは、大変注目を集めている。このアルバムは、「2001年12月19日、20日の精神を持ち続ける人たち」に捧げられたものでもある。その日は、人々が通りに溢れかえり、権利を主張した、アルゼンチンに革命が起きた日。その時、ブエノスアイレスの雰囲気は普段とは全く異なる、政治的に揺れ動く都市と化した。

では具体的に、どのようにですか?

ちょっと曖昧なところがあるのですが、自分を取り巻く世界に目を向けたいとは思いますが、僕はそれほど政治的な意見を持っているわけでもありません。アートと創造を通して、世の中を批判したい。世界を変える何かを実際に作り上げる人を尊敬しています。ある曲の中で、「アートをとったら、僕には何もない」と歌っています。僕にとってのアートとは、音楽だと思っています。音楽で世界は変えられない。もし、貧しい人々と共に働いて、時間を過ごせば、可能かもしれない。そういう人たちをとても尊敬します。でも僕にできる事は、このささやかなアルバムです。あの革命は、僕は確かにこの場所にいるのだ感じさせてくれた出来事でした。それ以前は、自分は見知らぬ土地の者のように感じていました。

次のプロジェクトはどのようなものになる予定ですか?

サウンドを、ドラムを抜いた軽いものにしていこうと思っています。ゲリラライブもやりたいと思っています。音、パフォーマンス、ユーモア、ノイズなどで、実験的な事もやっていきたいです。多様性のある音楽を作りたい、それが今、僕が強く思う事です。

私は今、彼らのアルバムをウォークマンで聞いている。周りでは、世界はいつもと変わらず、めくるめくスピードで過ぎていく。ヘッドホンから流れてくる、柔らかく、希望に満ちた声に耳を傾ける。『ジュリアンのバスへようこそ。ここで僕達は、1日の終わりを待ちわびながら口笛を吹き続ける。何も語らずに。』私はそれを聞きながら、一緒に口ずさむ。彼らの曲は、世界の明るい一面を教えてくれる。『太陽の下を歩きたい。また新しい1日がやってくるのを恐れずに、海辺の道を歩き続けたい。』と私は歌い続けた。

通りでは、まだ人が忙しく行き交っている。彼らの音は、不可能なことはないもうひとつの世界へと導いてくれるような気がした。

Text: Gisella Lifchitz
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Gisella Lifchitz

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