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レスフェスト 2003

HAPPENINGText: Aya Muto

Kid Koala “Basin Street” (Canada | 2003 | Dir. MONKMUS)
レコードサンプリング術に長け、オーケストラのような音空間を作り出すニンジャチューンのスター選手、キッド・コアラ。レコードと音にこだわる彼は、今回も常連のコラボレーター、モンクマス監督のシュールなアニメーションでニューオリンズのジャズストリートの独特の哀愁をかもし出す。それにしても私の夢と同じように身体の浮遊は、地面の重力から切り離されたように足から始まるのですね。

Funky Square Dance “Phoenix” (US | 2003 | Dir. Roman Coppola)
正直に言ってこの作品が一番シンプル且つ斬新でした。フランスのポップバンド、フェニックスの曲を聴いたイメージそのままに映像の常識をやぶってのメモ書き的制作に挑んだローマン・コッポラ、普段は妹ソフィアや偉大なる映画監督の父親の陰に隠れてしまいがちな巨匠2世である彼だが、パーソナルなナレーションで、(しかも文字を読み続けなければならないと言う必然的効果で)見るものをスクリーンに釘づけにする。バンドメンバーの依頼のE-mailに始まり、ソフィアからのアドバイスや、自分の思いつきノート、そして彼女でスーパーモデルのフランキー・レイダーのプライベートダンスなど、ローマンワールドへ諸手開きでご招待。シンプルな中にも最新特殊効果が謙遜に盛り込まれた、映像の可能性を感じさせる新鮮な作品。

Yoko Ono “Walking On Thin Ice” (US | 2003 | Dir. Mike Mills & Arya Senboutaraj)
今回のマイク・ミルズワールドは白黒アニメーションによるファンンタジー。「え?これヨーコ・オノ?」っていうボーカルのことは、いつの間にか忘れて、必死に物語を追う自分がいることに気づくはず。ベッドの上で読む絵本の中のウサギが森の中を実際にかけ始めて、やがて降ってきた雪に埋もれて土に帰ってく草となる。その草に花がついて、それを嗅ぐのが最初の女の子で、そのにおいの細胞の中に閉じ込められた小さな小さなウサギが女の子の体内に雪のように落ちていく。女の子の身体に閉じ込められたウサギはかごに閉じ込められたウサギのメタファーで、それを女の子が助け出し、森の中にかえしてやる…といった緩いループを描いて戻ってくるという種の起原をも思わせる哲学世界。ヨーコ・オノの冴え渡る才能発掘力に喝采を送りたい。

Champagne “Millionaire” (France | 2003 | Dir. Phil Dussol)
可憐なカメラさばきで、パリの街をインラインスケートで駆け抜ける現代の銀行強盗トゥルーパーを追う。白黒という一切の不必要を排他した効果と、光の飛ばしなどでスピード感いっぱいの、見事な映像。撮影にはやはりフィルムが使用された(AVIDにて編集)。この映像、もとはと言えば監督フィル・デュッソルが4か月に渡って違法に撮影した23分ショート『Easy Money』から編集されたもの。

The Postal Service “Such Great Heights” (US | 2003 | Dir. Josh & Xander)
シアトル在住の「デス・キャブ・フォー・キューティ」のボーカル、ベン・ギバードとロサンゼルス在住のジミー・タンボレロの郵便のやり取りでアルバムが作られたといういきさつを持つ「ポスタル・サービス」。80年代の音に多大な影響を受けるタンボレロのトラックがギバードのもとに送られ、彼の透き通るボーカルで、センチメンタルな歌詞が乗せられ戻ってきた。そんな切ない思いを未来型精密工場の無重力空間のような映像で表現。リズムにあわせて動きを刻む機械を見ていると、人と人が触れあうことがいつか過去のことになってしまうかのような不安に苛まれる。

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