DAF東京 2003

HAPPENINGText: Jo Kazuhiro

奥に進んで行くと、クリスピン・ジョーンズの5つの作品が展示してある。一つ目は「ソーシャル・モバイル」。これはIDEOとの共同製作によってデザインされた、いろんな意味で人を気遣わせる携帯電話。ガラスケースの中に展示してあったため実際に手に取ることはできなかったのだが、その脇では使用風景を描いたユーモラスなビデオが上映されていた。


クリスピン・ジョーンズ「ZXZX」

次は「ZXZX」。これは、僕らの世代の日本人なら大体知っているテレビゲームの「連射」を肩代わりしてくれるデバイス。実際に動いている姿を見ることはできなかったが、ビデオの中でプレイしているゲームでは、凄い記録をだしていた。


クリスピン・ジョーンズ「インビジブル・フォース」

「インビジブル・フォース」これは、彼がRCAの卒業制作として制作した作品で、占いに答えてくれるテーブル。答を得るためには熱くなる鉄板に耐えなくてはいけない。

もう一つの作品「Electrophile」これはメールソフトなのだが、キーボードに電極がついていて、文章が長くなるにつれ、電気ショックが強くなっていく。思った以上に強い電気が流れるこの作品。実際に僕が見に行ったときは、初老の男性がメールを書いていたのだが、ちょっと心配だった。

最後の「F17」これは、最寄り駅に電車が近付くと靴がばたばたと騒ぎ出すという作品。見ている間にもカタカタと何回か動いていて、めったに電車のこないような田舎駅なんかにあったら面白いだろうなと思った。日常生活でおきる出来事に刺激を伴わせたり、ちょっと視点をずらすことで、疑問を投げかけるといったスタイルの彼の作品。単純に楽しむこともできるけど、それだけには留まっていないところが興味深かった。

さらに彼らのトークセッションでは、2人の共通点としての幼いころのコンピュータとの出会いと学校で学んだ美術の影響、作品制作時のコンセプトとテクノロジーとの関係、今回のDAF東京での展示について、といった話題が話された。テレビ放映されるということで、拍手の練習をさせられたり、音が聞き取りづらかったり、とちょっとした不満はあったものの、クワクボリョウタの『作品展示はレースみたいなもの、修理するのは、ピットイン』というコメントや、『イギリスから見ると、日本にはコミュニティーもあるしエキサイティングだ』というクリスピン・ジョーンズの興味深い意見を聞くことができたのは、大きな収穫だった。

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