「ライティング:アーバンカルチャーとその先」

THINGSText: Michiko Ikeda


Bek, Caracas, Venezuela, 2002

『ライティングにおいて、空間は考慮すべき重要なポイントです。だからこそ、昔からあるライティングのスタイルから3Dの作品へとレベルアップした際は、空間は然るべくして発生する結果なのです。自らの作品で、3次元的な構成を作り上げるために空間を持たせるのは当たり前です。そしてそれは、3Dのタグを作り上げる最初の一歩でもあるのです』とマイ氏も言うように、文字の組み合わせや構成は「空間をデザインする」ということにおいては、重要なポイントだ。


Poe, Jazzstyle Corner at Glaswerk, Berlin, 2002

3次元のオブジェなどを作り上げるクリエイターにとって、野外で絵を描いてみたり、スプレーでの作業といった経験はある程度必要か?という質問をマイ氏に投げかけてみたところ、絶対的に必要ではないだろうが、あればあるだけ強みにはなるだろう、という答が返ってきた。『タグの構成を考える時は、そういった知識は少なからず必要かもしれませんね。でも、それがあるお陰で、3次元のものを考える時にとても役に立つのは絶対です』。2Dのものから3Dへ挑戦しようとしている作家がもしこの場にいた場合、2Dの下書きは、完成作品の質を左右するものにもなりかねない。つまり、3Dのオブジェを制作する際は、2Dと3D双方の秀でた点が共鳴し合っているのである。


Jan Kalab, Point, Prague, 2002

上の作品は、旧チェコスロバキア出身のアーティスト、ジャン・カラブのもの。3Dグラフィティのオブジェを専門に制作しており、公共の場やストリートなどで作品を発表している。エアゾール噴霧器を使って、夜中にストリートを徘徊するのが、ほとんどアーティストにとっての初めの1歩だ。そして少し経験を積んだ後、3Dやオブジェの制作に着手し始める。『ライティングでは常に、都会を取り巻く状況を反映し、それに対する批評が書かれてきました。ビルが都会の風景を作り出し、そしてライティングがそういった風景や空間についてコメントを残す。ライティングからは、建築スタイルの明日を垣間見ることができるのです』とマイ氏は語る。


Colin Ardley, Above And Below Horizon, 1994

これは「Above and Below Horizon」という作品で、コリン・オードリーが1994年に制作したもの。彼の作品には、色が付けられた、あるいはそのままの色が残された木が複雑な形を形成しており、周囲の空間を引き立たせるような、壁に掛けるタイプの彫刻の、典型的なスタイルが取り込まれている。

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