ナイキ・プレスト 04

THINGSText: Sachiko Kurashina

昨年のキャンペーンと比べて、どのような点が進歩したと思いますか?

「プレスト04」では、認識とメッセージの幅が広まりました。「プレスト03」は、比較的テクノロジー+音楽と融合したアクティビティ=テクノアクティブというアイディアが中心でしたが、今年のキャンペーンはより広く「インスタント・ゴー」を表現しています。アーバンアクションとムーブメントのより環境的、物質的そして実態的な表現です。

もしこのキャンペーンをヨーロッパやアメリカで展開した場合どうなると思いますか?

すでに世界中のオーディエンスから視聴しているのに似た反応を得ると思います。今まで見たことのない新しいものなのです。「プレスト04」は、クリエイティブのドリームチームです。このようなプロジェクトが実現することはほとんど無い事ですし、たとえあったとしても面白みの無くなったものが多い。このようなリスクを取り、新しい表現を追求するナイキは世界一のクライアント/スポンサーと言えます。

WK は、常にオーディエンス特有の、そして関連したコミュニケーションをつくっています。もしこれが欧米で展開されるキャンペーンでしたら、それら地域のアーティストとのコラボレーションをしていました。彼らには自分達の仲間である人達にインスピレーションを受けてもらいたいからです。特に日本のユースカルチャーはとても洗練されているため、オーセンティックであり彼らに関連のあるコミュニケーションをする事が重要でした。

私達がアジア市場のためにつくれるものの範囲に対しては実際驚いています。アメリカのコミュニケーションはこれほどのリスクを取りません。ですからこのキャンペーンがアメリカで展開されることはないと思います。もしかしたら同じコンセプトでも全く違う方法で実行されるでしょう。日本ではアニメの歴史も長く、アニメーションは評価されています。また東京はとても先進した文化都市であり、新しく冒険的なコミュケーションを受け入れることができます。アジアでは全体的な情報、そしてコミュニケーションの環境が違うのです。

良いアイディアを生み出すための、秘訣はありますか?

コラボレーション、緩慢な一様化、そして未知の物に対するオープンな心持ち。全てのものは発見されるために存在し、それを待ち望んでいます。私にとってクリエイティビティで最も楽しい事は、相反するマインドで新たな面を発見すること。時には混乱する事もありますが、結果的にはうまく行くものだと信じています。そういう意味で私はとてもポジティブだと思います。

今後の予定を教えてください。

現在いくつかのプロジェクトに取り組んでいます。

バーンストーマーズの別のメンバーと新たなナイキ・キャンペーンに取り組んでいます。詳細は教えられませんが、新たなアジアのスタイル&プレイをインスパイアするものです。

日本人アーティスト/ミュージシャンの高木正勝と秘密のプロジェクトに取り組んでいます。彼は “ジェネレーションY” を代表する素晴らしい才能の持ち主だと思います。音楽や映像を使い、大胆不敵なアプローチの創造力を持っています。また同じプロジェクトで別のアーティストとも作業しています。古武家賢太郎、彼も素晴らしい若手イメージ・クリエイターです。

最近ペルーのクスコに行ったのですが、その旅から戻りまた自分の映像もつくりたいと思いました。現在動きに対する人間の欲望、「インターナル・リズム(内存的なリズム)」に関するナラティブに取り組んでいます。

NIKE PRESTO 04
広告代理店:W+K Tokyo
クリエイティブ・ディレクター:ジョン・C・ジェイ
アート・ディレクター:エリック・クルーズ(+Cruz)
https://www.presto.tv

Text: Sachiko Kurashina
Translation: Makiko Hara
Images: Nike, Inc. © 2003

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
鈴木将弘
MoMA STORE