アートデモ03

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商店街の片隅にある町工場、そこが目的地。マネージャーに誘われ、不意の来客に対応したのは明和電機の社長である。ジョーンズは受賞作品のデモを社長にしながら、ハイテクものづくりと結びついたアートのかたちの多くを明和電機からインスパイヤされたことに謝意を告げていた。
デザインによって問題を解決し、新たなビジョンを現実のものに開く。デザインでビジネスに、必要とされてきた機能の実現やヒット商品を生み出す、ブレークスルーを地球規模で与えてきたカンパニー「IDEO」。ジョーンズの取引先とは、そのIDEOのスタッフ。デザインやアートをビジネスの問題解決に活かし、その結果がジョーンズの作品になった姿と他の作品やプロジェクトには社長もまた、自社の戦略と重ね合わせるかのように関心を寄せていた。


ところがそれよりも社長が関心を寄せたのは、もう一人の同行者である後藤富雄の存在であった。アートデモのキーマンである後藤は明和訪問の前まで会ってそのまま同行したもの。昔働いていたNECでPCエンジンの開発者として知られていた後藤が会話中に取り出した、大田と品川区の町工場から生まれる至宝に皆の目が輝く。ワンチップのチューナー、接着剤無しで強固にくっついた鉄とプラスチック、インクフリーの精密写真スタンプなどなど、後藤が今、フリーの立場で町工場とビジネスをつないで売り込んでいる技術を見る中で、想像の中にあるプロジェクトのキーの可能性を後藤が見せた町工場の創造性の中にあるのでは無いかと考え始めたのである。

アートデモとは、メディアやテクノロジーを用いたアーティストが、限られた時間というルールの中で、自身のプロジェクトのモデルをデモンストレーションすることで、作品や評論という今までの芸術としてフォームが既に決まってしまった鑑賞や評価方法ではないかたちで新たなコミュニケーションの回路を開く、デモスタイルのイベントである。
アーティスト自身がデモすることでもたらすことの出来る説得力が、アーティストの持つ創造力や問題解決力を示し、ビジネスや社会環境など様々なシーンでその力を求める人々とのつながりが生み出されるのがアートデモである。

2回目を迎えたアートデモ。そこで初めてデモの舞台に立ったアーティストこそ、ジョーンズであり、IDEOのデザイナー、グラエム・プーリンである。

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