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アディクティブTV

PEOPLEText: Yasuharu Motomiya

アディクティブTVの中心メンバー、グラハムに少し話を伺ってみた。

まずはじめに、ADDICTIVE TVについて教えてください。

きっかけは、仕事で遅くなり朝方帰ることが多くて、そこで新聞配達の人や郵便配達員の人とか一生懸命働いている人を見て、この人たちが楽しめることを僕が提供できないかと思い、5本ぐらいのショートプログラムをつなげてロンドンのクラブ・スカーラという場所で上映することから始めたんだ。メンバーはボクとニックとフランシスと他に今回来ていない、ロブ、ポール、トーリ、ジョージがいて、この中には映像制作だけではなく、DJや作曲家などもいる。

活動は主にTVプログラムの制作や、フランシスのシネフィールとの共同プロジェクト「オーディオビジュアル・ラウンジ」のオーガナイズ、レーベルとしてDVDシリーズ「ミックスマスターズ」のリリースなどをしている。シネフィールはフランシスのプロジェクトで、アンダーグラウンドなフィルムやアーティストをキュレーションしているんだ。

オーディオビジュアル・ラウンジについて教えてください。

映像をより楽しめる空間とVJがパフォーマンスできる場を自分たちで作ろうとした。そして、今までやっているショートフィルムなどを見るためのイベント、例えば映画館などで行われる事などは10分〜15分などと短いショートフィルを何本も観るにはあまり適さない空間だと思ったんだ。そこで考えたのが人と人が自由に交流しながら音楽も楽しんでそして観たいときにショートフィルムを観るというスタイルだったんだ。それと、クラブイベントで使われる映像のように単なる空間演出的な要素ではなく、映像それだけでも十分楽しめるものにしたかった。ここでは、DJがヴィジュアルに音楽をミックスしたり、VJが音楽にミックスしたり、ショートフィルムや興味深いミュージッククリップをつないだりしている。

これは、VJがより認知されシーンの向上を図るためでもあるんだ。例えばイベントのフライヤーを見ても、DJなどは大きくクレジットされているけど、VJはまだとても小さくクレジットされているだけなんだ。それを改善するためには、こういったシーンをもっと大きくしていかなければならない。これからもっとこのイベントを大きなものにして、海外のアーティストなどを招き交流を深めれる場にしたいね。月曜日に行っているのだけど、週末は沢山のイベントがあって競争しているしこれは普通のクラブスタイルとも違う、何より週始めにやることがみんなの一週間の活力になればいいと思ってるんだ。

VJするにあたって、どの様に表現しようと思ってますか?

VJの中には、ヴィジュアルにピースだとか色々なメッセージを織り交ぜたり、破壊的なイメージのものを流したりする人もいるけど、ボクはそうではなく何も考えずにただ楽しくやるだけなんだ、そしてVJをしているボクを見ることで、お客さんがわざわざそういったメッセージをヴィジュアル化しなくても感じることだと思うから。ボクがすることは客をリフトアップしてあげることなんだよ。

作品を作るにあたってどの様なものからインスピレーションを受け作りますか?

普段の生活の中からだね。昔、リドリー・スコットに話を聞いた時、彼が雨が降りとても渋滞している道を走るタクシーの窓から見た、渋滞してイライラしている人が運転している何百台という車のヘッドライトに照らされる水滴のパターンを見て、そこに本当の美を感じたといっていたんだ。ボクはそれにとても共感したよ。アイディアは生活のいたるところにあるってね。そして、かっこいいものを作ろうとするんじゃなくただ出てきたものを形にするだけなんだ。何も考えずに音楽を聴いていると本当にいろいろなイメージが浮かび上がってくる、それを形にしていくんだ。

最後に、今後の活動の予定はどういったものがありますか?

次回の日本のアーティストも参加予定のDVD「ミックスマスターズ」シリーズのリリースとイベントとしては「オーディオビジュアル・ラウンジ」。あと、今度シカゴで行われるVJシンポジウムにも参加するんだ。こういった、活動が色々なVJの交流にもつながり、また、このシーンを活性化させる意味でもいいことだと思うよ。

オーディオビジュアル・ラウンジのような動きは世界中で起こりつつある出来事であり、これからよりいっそう必要とされてくる場ではないだろうか。なぜならば、デジタル技術の発達によりビジュアルアーティストに限らず他分野のアーティストも多くの作品を生み出す機会が増え、それを発表できる場が必要だからだ。

そして、DVDシリーズ「ミックスマスターズ」などに見られる、音楽とビジュアルの融合をより明確に打ち出しパッケージングする彼等の活動は、VJシーンだけではなく音楽シーンまたは他の分野の活性化にも繋がるのではないだろうか。

ADDICTIVE TV
住所:39a The Old House, North Road, London N7 9DP
mail@addictive.com
https://www.addictive.com

Text: Yasuharu Motomiya
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Yasuharu Motomiya

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