フリップ・フロップ・フライン’

PEOPLEText: Sachiko Kurashina

今回、SHIFTのカバーデザインをしていただいたのですが、何をイメージし、どのように制作したのですか?

アンティークのおもちゃについてのTV番組を見ていた時に、最初のひらめきみたいものがありました。歳を重ねるごとに、エンターテイメントが今よりもシンプルだった時代に対する僕の興味は増していっています。もちろんその時代は、ゲーム・キューブも、プレイステーションも、携帯電話も無い時です。そういったことを考えているうちに、子供の目線になって物事を見るということを表現したい。プラス、僕が子供の頃に興味を持っていたことをもう一度振り返ってみたい、という気持ちになりました。このデザインでは、パンチ&ジュディ・パペット・ショー、凧上げをする人、水夫、ET、キングコング、移動遊園地のゲーム、風向計、木こりなど、登場させたいものは沢山あったのですが、そういったものの中から登場人物を抜粋しました。制作のプロセスは、先程説明したとおりで、ペンシル・ドローイングを沢山し、どこに何を配置するか、試行錯誤を繰り返しました。また僕は、ゆっくりしたものが好きなので、その趣向も取り入れました。その他、ウェブのアニメーションの特色の中でも、特にループが主なディバイスとなっているGIFアニメーションが好きなので、それも活かしました。ルーピングには、機械的な要素だけではなく、木製のおもちゃのような要素もあると思います。

展覧会もソーソーで開催しますが、どのような内容になりますか?

これは、自分の周りに犬がいない寂しさを、カバーするような展覧会です。僕がまだ十代の頃、家には犬が4、5匹いました。でも一人暮らしをするようになって以来、庭がなかったり、散歩に連れていく暇がない、といった理由で犬を飼えずにいます。また、イギリスの上流階級の人たちの飼い犬と一緒に描かれた肖像画の写真を目にしたこともあり、その絵画の厳格的なポーズの取り方もいいな、と思っていました。そういったアイディアを現実化したのです。

ドイツ、ベルリンについてお聞きしたいと思います。何か興味深い動きはありますか? また、ベルリンで活動することについてどう考えていますか?

経済的には失業者問題についての動きはあるようですが、街にはオリジナルのTシャツやグッズを売る小さなお店やギャラリーが溢れており、活気に満ちているようです。ロンドンやパリと比べると、住むにしてもアートをするにしてもあまりコストがかからないので、ベルリンはかなり「DIY」色が濃い街だと思います。

日本についてはどう思いますか?

日本には行ったことがないので、僕の知識は本、雑誌、テレビ、映画からのものですが、日本でもイギリスのように車は左を走るんですよね?それはすごくいいことだと思いますよ!

好きなビジュアルを教えてください。

極めてカッティング・エッジの効いたものよりも、プロセスの中に人が関わった形跡がある作品が個人的に好きです。どんなプロセススタイルを使ったかは僕的には結構どうでもいいことで、フラッシュやフォトショップの技術がどうとかよりも、作者の気持ちや魂が入っているかどうかが気になります。

最後に今後の予定や、これからやっていきたいことなどを教えてください。

本物のリバプールFCのセンターフォワードとしてゴールをしたつもりになって遊ぶこと以外では、ウェブ上でもオフの状態でも、何か良いものを作っていたいです。例えばおもちゃとか、絵本、大人用の本、展覧会、Tシャツ、手袋とか…。こういった世界が僕の頭の中に広がっていて、それはかなり精密だし、日々この世界は拡大しつつあります。これからもずっと、この世界を表現し続けていられれば嬉しいですね。

FLIP FLOP FLYIN’
住所:Engeldamm 64a, Berlin 10179, Germany
https://www.flipflopflyin.com

Text: Sachiko Kurashina

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
葛西由香
MoMA STORE