エアロステッチ

PEOPLE

最近、クリエイター活動のキーワードとして「コラボレーション」が注目されている。これについては、僕は基本的に賛成だし、センスを共有できるクリエイターたちがジャンルの枠を越えて集まり、最初は単なる共同展のようなものから、より深くお互いの美意識をミックスさせてコラボレーションに進むことは、とても素晴らしいことだと思う。


しかし、札幌のシーンをメディアを作っている者として眺めていると、クリエイターのコラボレーションが現在進行形で語れる活動というのは、あまり見えてこない。なぜなのだろうか。

その理由を考えてみると、コラボレーションにあるのはクリエィティブで甘美な快楽だけではない。実際、他人との共同作業というのは、音楽にしろグラフィックにしろ、難しいものである。能率的なものでも決してない。

まだクリエイター同士がまだ本当に未熟な者同士なら、お互いのポリシーを出すよりも、完成に近づけることだけで精一杯になるし、一緒に何かをやる新鮮さから、結果的にできたもののクオリティは別として、作業自体はうまくいくと思う。しかし、お互いに完成度の高い作品を作りだせるスキルの持つクリエイターが共同作業をするとなると、お互いの核となるセンスは強いものがあるし、それが強いほど他人の意見を聞きづらくなる。これは、気が強い/弱いという性格の問題というよりクリエイターのアイデンティティの問題であり、綿密で「大人」なコミニュケーションが成立しなければ、成功しないものである。

僕の雑感では、現在まで未熟なままコラボレーションを行ない、芽は出たが、それが成長しないまま終わってしまった。または、成長はしたがそれゆえに上に書いた事情によりコラボレートが難しくなってしまった、という理由により、札幌であまり継続性を感じさせるグループ活動をみかけないのが残念な気がしていた。コラボレーションを、一人前のクリエイターになる通過儀式のみと考えるのはもったいない話しではないだろうか。

そんな状況の中で、今回紹介するエアロステッチはもう4年近くグループによって継続的な活動をおこなっている。そして確実にその表現の幅を広げてきている「大人」なセンスをもっているクリエイターたちである。

エアロステッチは、1998年に大黒淳一を代表とする札幌のテクノレーベル。コンセプトは、「トータルテクノ」。その意味はテクノを単なる音楽の1ジャンルとしてではなく、「未来の音楽」と定義して形式にとらわれないサウンドを作り出している。また、当初より音だけではなく専属のジャケットのデザインや、ビデオクリップの制作、ウェブデザインおこなう専門のアートディレクター、TRUEGRAPHIXXが同レーベルに所属していることによって、現在まで、商品としてコンピレーション・アルバム(ヴィデオ・クリップも収録)を2枚ほどリリースしているが、ジャケット・ワークを含めて統一感のある作品を仕上がっている。このあたりの完成度の高さはまさにサウンドクリエイターとデザイナーのコラボレーションの成功だと感じる。

本レーベルの詳細についてはそのウェブサイトや、僕の制作しているウェブマガジン、「ニュメロデュー」でも過去に特集インタビューをおこなっているので参考にして欲しい。

エアロステッチは、昨年より新たな展開として札幌「キングムー」の月イチのレギュラーイベント「SASORI」を主催し、市内のサウンドクリエイターや、VJをフィーチャーしたパーティを行っている。これは、単なる合同イベントではなく、参加者とのミーティングも定期的におこない、お客さんにコンセプトなアートを感じさせる「場」また、クリエイター同士の意識を高める「場」として作っていく建設的なものだ。僕は彼らの表現活動のセンスの良さに加えて「継続的な意志」をつねに感じさせ、実行してきたところを評価したい。

Text: Shinichi Ishikawa from Numero Deux

【ボランティア/プロボノ募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
コントワー・デ・コトニエ公式通販サイト | 2016 SUMMER SALE
マリアンナ・ドブコウスカ
MoMA STORE