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ルイザ・ランブリ

PEOPLEText: Ilaria Ventriglia

『建築はどこか他へ引っ越すための口実。今日、私の興味は、居住する場所が空間へと形を変えてしまうその瞬間にある。』


Assembly Hall, Chandigahr, Le Corbusier, 1950. Photo: Luisa Lambri

ルイザ・ランブリの撮影した建築物の写真は、優秀なモダンビルディングとの個人的なつながりに由来している。彼女の背後には、そうしたドキュメンタリーの膨大な歴史がある。しかし、それはルイザの探し求めている空間の非物質的な性質。ル・コルビュジエは、インド、チャンディーガルにある都市を丸ごと一つ構築した。彼には、建造物が個人的なものとして存在する可能性しか無いような土地に、西洋の建築を移すという夢があった。人々が宮殿の基盤となっているインドの中心が、その土地というわけだ。チャンディーガルでは、ルイザは、まだ限定されていなくて、厳格に禁じられていないような情景をもち、地理を確認するものがなく、確認するする時間も無く、夜も昼も無いようなものを選びとった。現実に存在し、自由なチャンディーガルに心理的な場所を作っている。


Turun Sanomat – Headquarters, Turku, Alvar Alto, 1927-29. Photo: Luisa Lambri

『私の作品は、私について語ることはない。物事に対する客観的視点と個人的見解の間に距離を保ち、バランスを整えている。』

ごく最近のリサーチは、可能性のある全ての方法において、主題とそれを反映する次元を取り戻す傾向にある人文主義的操作に強い社会的興味があるとしている。人のすんでいないスペースでも、静かで何も無くても、ルイザ・ランブリの作品は人類について語っているが、その言葉は曖昧だ。補助のディテール、一瞥、側面からの視野、線の排除、窓、ドア、角、ランプといったものが、その作品の言語になっている。アルヴァ・アアルトは、その土地の伝統と建物の機能を調和させようとしたのだ。住文化は人間的なもののようだが、その調和の仕方は基本的にあやふやなのだ。

「建築と空間は、社会的にインパクトを持っている。でも私は、もっと官能的で感傷的なものが好きだ。建築は個人的な関わりあいを通して、私に語りかけてくる。」


Villa Tugendhat, Brno, Ludwing Mies van der Rhoe, 1928-30. Photo: Luisa Lambri

ルイザ・ランブリは、まるでダイバーが棹を操るかのように、カメラを使う。カメラは、彼女の魂や懐かしい感情が込み上げてきた時に、振動する。これまで登場してきたヒロインのように、彼女は、合理主義の偉大なる父がすむ家へ足を踏み入れた。厳格に、冷静に、そして理性をほぼきちんと保ちながら。建築物が大地の上に書いて説明できなかったような感傷的なドキュメンタリーや、個人的な物語の断片を、光で書き出している。

ミース・ファン・デル・ローエでは、国内外の空間は互いに浸透し合っているが、ルイザの場合における溶解は、そのもの自体をイマジネーションの世界へ導いている。彼女は、感情を探究する事柄のリアリティから出発し、空虚感と共に再構築することとなった。

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