NIKE 公式オンラインストア

ソナー 2001

HAPPENINGText: Ben Vine, Terevision Ruiz

火曜日夜7時。スーツケースのチェック。短パン、海パンに半袖シャツ、もしものためのジーンズ(一度もスーツケースから出なかった)、フェスティバル用の週末パス、リーバイスのウォームアップパーティー・チケット2枚、サングラス、日焼け止め。準備完了。

僕達にとっては、ソナーは今日が開始日。リーバイスは、CCCB(ソナー・昼の部が木曜から土曜にかけて行われるところ)をパーティー会場にした。せいぜい500人が、最愛のフェスティバル第8回目の真の幕開けに参加できるってわけ。

マドリッドから出発して早々、旅行は、がたがた。技術的な障害で、すぐに方向転換し空港へ舞い戻る。おっと。この飛行機がバルセロナへ行かないなら、マドリッドへ連れ戻してもらうのはどうだろう?マドリッド(たった1箇所)に戻り、飛行機を変更し、バルセロナに再び飛び立つ。約2時間遅れ。ちくしょう!チェックアウトを通りすぎ、タクシーへと走る。まだ町へ向かう途中なのにすでに11時!宿主に会って、スーツケースを降ろし、シャワーを浴びて一瞬にして2つのフライトを忘れ去る。ロニ・サイズは、11時半(今なんだけど)に予定されているのに、まだ家の中!車に飛び乗ってCCCBへ急行だ。

バルセロナ現代文化センターは静かでとてもリラックスできる。ひと握りの人々がバーの周りに立って、クールなビールを楽しんでいる。レプラゼントのセットはまだ始まっていないかのよう。

階下のホールは半分満員といったところで、ロニを正当に扱うには十分すぎるほど肘を動かす余地があるけれど、バルセロナへの最初の訪問で僕らのヒーローが失望しない位には観客が入っている。

『Those of you at the back, make your way to the front, those of you at the front, make your way to the front』。はっきりとしたブリストルアクセント。ダイナマイトがマイクを手にステージ正面へ移動する。乾いた金属的なビートの短い爆発がホールを濡らし、立っているのが難しくなる。次の爆発が朝食でテキーラをいっき飲みしたみたいに群集をフラフラにする。ぞくぞくする。レプラゼント用のウォーミング・アップは、不可能じゃないにしても容易じゃない。どんどん激しくなっていくから。幸運にも、サイ・ジョンのダブルベースが、切り刻まれたビートの迷路の中での居場所を教えてくれる。でも僕達はすぐに休憩しちゃう。レプラゼントは絶好調で、比較的小さなホールにぴったり合っている。オナリーのスペイン語は思ったより上手くて、カタロニア人をもてなすほど。『Que pasa Barcelona?(バルセロナの皆さん、お元気?)』。説得力のあるアクセントで尋ね、『heroes』『watching windows』『brown paper bag』の高速連続演奏で喜ばせる。これを待っていた…と思った瞬間に脚がつってしまった!『Do you think that you can hold on, when the beat gets too strong…(ビートはどんどん強くなるけど、持ち堪えられる?)』。無理無理、絶対に無理。

ひと息つこうと何か飲もうとするけど、次の曲が始まる前にこぼさず全部を飲むのは難しいね。レプラゼントのギグから離れずにビールをゆっくり飲んでみて。できるかな?

そんなわけで、一口飲んで任務に戻る。『Who told you』が群衆を少し驚かす。『How the fuck do I dance to this』の文字が隣の男の額に写し出される。逃げようとするが効果なし。追いついた時には、ロニは別のビートを始め、誰よりも3歩先を進む。

『1時だぜ。みだらになる時間だよ』。群衆は振り返り、ちょっと途惑う。『みだらになる準備はできてるかい?』とダイナマイトが挑発する。反応無し。でも、曲が始まってすぐに、彼が何を言いたいのか分かった。その曲はみだらで、そして美しい。こんなにもドラムンベースを生き生きさせる、生ドラム、生ベース、ダイナマイトやオナリーのようなヴォーカルは他にはない!

二階の空気は涼しくて心地良い。夜はここがスペイン最高の場所。熱を冷まし、お喋りしたり一杯やるのに最適。バーではダイナマイトが、ミュージシャンの一人であることをバーテンに納得させるべくアーティストパスをブラブラ振っているけど無駄に終わる。『ロニを見なよ。払わなくちゃいけないんだよ』とバーテン。リーバイスが他の人々にはチケットごとに3杯の無料ドリンク券をあげてることを考えたら少し不公平に思ったので、今回は僕がおごってあげた。

レプラゼントは明日オフであるかの様子。『どうかしたの?もうソナーにはいないの?』と尋ねたら『俺達はやることやったからね』との返事。なんか的が外れているような気が。彼らは火曜日で終わりにするべきじゃない。確かに、登場するにはちょっと早かった気がする。でもまだ絶対に帰っちゃダメだ。バルセロナの魅力に関する友人とダイナマイトの議論はそのままにして、興奮した小さなスペイン人にロニがアドバイスしているのを聞きにいく。『しかしここスペインの人達は分かってない』との愚痴に対し、ロニはこう答えた。『忘れなよ。人々にドラムンベースを教育する必要なんてない。観客が理解しようがしまいが、分かる奴がたった3人だけだとしても、君が演奏したいものを演奏すれば良い』。

水曜日は日陰で過ごす。大抵、クララ(レモネードがちょっぴり入っているビールで、午後3時までフロアーに取り残されたりしないように喉を潤すのに欠かせない)を手に、バルセロナの街をさまよう。ソナーのためにバルセロナまでのんびり旅行するつもりなら、都市を楽しむ予備の時間を少し取っておくこと。率直に言って、僕はここに来るたびに動きっぱなし。海、良い天気、素晴らしい食べ物、終始やることが一杯、とても美しい女の子達。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE