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「ムーブメント」展

HAPPENINGText: Akira Natsume


メイン会場から階段をおりると、5Fのサブフロアに出る。

5Fサブフロア:6Fの展示方法と異なり、寄稿作家の作りだしたアルバムジャケットや、ポスター、アートワークなど、様々なデザインプロダクトを多数展示した。展示方法は、ガスブック10のデラックス版のパッケージのイメージと合わせた。生地の布をテーブルシートにして、その上に作品を並べ、細い赤い糸で作品をきれいに縛た。作品を盗まれないようにする為と、作品の破損を防ぐ為に考えられたとても素敵なアイディアだったと思う。まるでガリバ-旅行記で、小人がガリバーを糸で縛ったような感じだった。


1F:祝日、週末には1Fの大プロジェクターを使って、街を行く人、外に向かって映像作品を流した。

ムーブメント展は、ガスブック10と、スタジオボイス2001年6月号「POETIC HORIZONS」と連動した企画としてスタートしました。展覧会の目的は、10年前まではとても遠い存在だったロボットテクノロジーや、通信技術、様々なSF的なテクノロジーが、ものすごく自分に近い所まで降りてきている事から、ここ10年ほとんど変わらなかった、新しいライフスタイル、ビジョン、新しいデザインの可能性を探れるのではないかと思いました。家にあるのが、TVとソファーと、コンピューターと、本棚、などという決まりきった環境に少々飽きてきていて。例えば、最近のPS2にしても、コンピューターにしても、輸出規制がかかるほど、ハイテクで、軍事利用できてしまうらしいじゃないですか。そんなハイテクなのに、使うのが、モニタ-上でやれる事にかぎられているのは、もったいないと思い、とりあえず、コンピューターや、センサ-類などのテクノロジーと、プロダクトデザインを融合して新しい空間を生み出したかった。そこでは、グラフィックはまた新しい一面をもって、生活にとけ込む。身体感覚に、ピピっとくるデザイン、グラフィック。

グラフィックがここまで進化してきているのに、その受け皿がたいして進化しないのは、おかしいでしょう。DVDでもまだ、TVモニターで見ている事を考えると、30年間進化していないと思う。大事なのは、どうやって、身体にグラフィックが、デザインが触れるか。だから。

そんな不満と、ぐつぐつしたビジョンのかけらを頼りに、今度の展覧会を考え、運良く、コンテンポラリーデザインのディストリビューターであり、自身も空間や、プロダクトのデザイナーでもあるトリコの佐伯仁さん(エアンコンデションドのメンバーとしてハプニング展も手掛けている)と、様々なデジタル装置を開発しているデバイスアーティストのクワクボリョウタさんに会いました。コンセプトと、空間デザインを佐伯さんに、システムデザインをクワクボさんにお願いしました。展覧会のタイトルも佐伯さんの命名です。そして、こんなコンセプトにまとまりました。

MOVEMENT

人が動くと、それに反応して周囲の環境・物事が動き出す。
動き出した周囲の環境/物事に反応して、人が動く。

じっとしていても何も起きない。

心の動き、体の動き、周囲の環境・物事の変化、それらを結び付ける装置。現代の動向、これらの関係性を探る実験。

東京、ヨーロッパのクリエイターに会いにゆき、その場でアートワークを真っ白い束見本に落としてもらい、でき上がった本や、紀行の様子はスタジオボイスに掲載されたりと、実際に動いた結果が、様々なメディアに落ちて、それぞれが動き出す。そして、最後に展覧会に行き着く。そんなプロジェクトになりました。

結果的に入場無料という事もあって、子供からおじいさんまで、いろいろな人達がきてくれました。各部屋、コンセプトの説明などを、子供に諭すように文章で伝えなくても、自分でデザインを発見して、すごく楽しんでいました。誰かが発見すると、その周囲の人も動かされたりと、どんどん面白さが広がっていって、僕自身、人が走り回っている展覧会や、うきうき笑っている人がこんなにいる展覧会は始めてでした。
こちらが、こう反応して欲しい。と願っている通りに、反応してくれている様を見るのは、ほんとうにうれしい事です。
反対に興味がわかず、動かなかった人には、こんなにつまらない展覧会も始めてだった事でしょう。

一番、残念だったのは、会期初日に全てのフロアが完成しなかった事と、会期中、装置が壊れても、メンテナンスがうまく進まなかった事です。

こんなコンセプトの展覧会だから、一度で終わるわけではなく、続けていく事でビジョンは形になっていくと考えています。実際に体験してもらわないと、なかなか伝わらないと思うのだけど、沢山の問題点がクリアされれば、来年のゴールデンウィークに、またメディアテークでムーブメント展を開催できるし、巡回先も探しているので、来てくれなかった人もぜひ、いつかは体験しにきてください。

MOVEMENT
会期:2001年4月29日~5月13日
会場:せんだいメディアテーク
住所:仙台市青葉区春日町2-1
ttp://www.gas-city.com

Text: Akira Natsume

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