インタラクション 2001

HAPPENINGText: Jo Kazuhiro

2日目も論文発表から始まり、午前中はやわらかいインターフェイスと題し、京都大学の中尾らによる心臓の視覚・触覚シュミレーション環境「ActiveHeart System」、ソニーコンピュータサイエンス研究所の飛田らによるスケッチベースの3Dシーン構築ツール「Flat3D」、京都大学の須藤らによるひも状の物体のモデル化、といった研究が発表された。

さらに休憩をはさんで、1日目に引き続きインタラクティブセッションが行われた。東芝の松下によるヘッドセット型無線デバイスや、高精度の手書き文字認識を用いた農工大の坂東らによる対話型電子白板、多摩美大の楠らによるプロジェクタとRFIDタグを組み合わせたセンサリングボード上での音楽学習の支援システム、室蘭工大の佐藤らによる手書きの曲線を入力するインターフェイス、コーヒーメーカーの稼動状況をアンビエントに表示する玉川大の椎尾、はこだて未来大の美馬による「Meeting Pot」、東大の西本らの木のメタファーを利用したファイル構造の3D視覚化、奈良先端大の山本らによる空間的な配置を利用したビデオデータの分析用ツール「Time-ART」など、この日も多様な研究に触れることができた。

その後、生命工学工業技術研究所の森川らの映像の合成を用いた超鏡「HyperMirror」によるビデオ対話方式、ATRの高田らによるコンピュータ上のエージェントとのコミュニケーションの提案、電通大の北島らの頭部の位置と姿勢を利用したインターフェイスの提案、ベストペーパー賞を受賞した成蹊大の緒方らによる「ビデオ翻訳システム」の論文発表が行われた。

最後に2日目のベストインタラクティブ賞として、「手書き曲線入力インターフェイス」と「Meeting Pot」が表彰され、インタラクション2001は幕を閉じた。

インターフェイス・インタラクションの世界は体験することではじめて分かるという部分が多く、また通常これほど多くのデモを一度に体験できる機会というのは殆どないため、今回のシンポジウムは現在、そしてこれからの情報技術のあり方を考える上で大いに参考になった。ただし、参加者のほとんどは工学系のバックグラウンドを持つ研究者であるためか、技術的には優れているもののプロダクトとしての魅力に欠けるものも多く、個人的には今後、デザイナー、アーティストの参加による研究者とのコラボレーションが活発に行われることを期待したい。来年度の開催も既に決定しているとの話なので、これを見て興味を持ったデザイナー、アーティストは、ぜひ参加してみてはいかがだろう。単に見に行くだけでも、いろいろなアイディアが浮かんでくるはずだ。

Interaction 2001
会期:2001年3月4日〜5日
会場:早稲田大学
住所:東京都新宿区戸塚町1丁目104
https://www.waseda.jp

Text: Jo Kazuhiro
Translation: Fayd Kwan
Photos: Jo Kazuhiro

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