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あぐら家具

PLACEText: Shinichi Ishikawa

多くのまたがる家具を製作されていますね?

「またがる感覚」というのを知って欲しいと思っています。日常的にまたぐという行為をしてもいいんじゃないか、ということです。

クイーンアンという時代にイギリスでまたがって背もたれに本をのせて読むという椅子があったのを知ったのがこのタイプの椅子を製作するきっかけだったのですが、このことについては、西洋人も保守的で以前スペインの展示会にまたがるタイプの椅子を展示したのですが、説明してもまったく理解してもらえませんでした。それでも、実際にまたいでもらうと、「ワンダフル!」という感じで理解してもらえました。

またがるタイプの椅子というのは、自分ではもの凄い発見だと思っているのですが、これは未来の家具のひとつの形態になるかもしれません。飲み食いをするには向きませんが、打ち合わせをしたり、オフィスで使うにはとてもいいと思います。

キャスター付きの家具も多く製作していますね。

ええ、それはやはり便利だからと思って付けています。同じように家具を作っている若い世代の人達もキャスターを付けているのを見かけますが、これは日本だけでなく世界でも、今家具を作り始めた人の共通のセンスで、今の世代の欲求だと思います。のっかったまま移動するというは、かなりぐうたらな生活だと思いますが。

ギャラリーで展示会を行っていますが、アートの側面もあると思いますか?

いいえ、そうは思いません。私はあくまで家具屋というスタンスです。アートというには物足りないと思います。例えば椅子を作るとするなら、座ることしか考えないですし、見て楽しむという部分はあまり考えていません。私の作るものはフェイクファーを多く使っているのですが、その色とかは考えたりしますが、本質的な部分でファーというのは見て楽しむというよりも、さわり心地を楽しむものだと思っています。

実用性重視ですか?

例えば、棚などは、ちゃんとA4の紙が入るようにと考えます。可愛いのに1センチ足りなくてA4の書類が入らないというは意味がないと思います。もちろん見た目も大事ですが、使い良さを重要に考えています。

未来の家具について。どのような家具が必要/でてくると思いますか?

技術が発展するにつれ色々なものが小型化してきました。多分想像以上に小さくなるので、いま狭い部屋の中に自分以上に幅をとっているものがなくなることだって考えられます。最後まで必要なものは雨風をよけるもの、体を支えるものだと思うので、全ての機能はその二つに付随させればいいわけです。と考えればテレビだって照明だって壁化してしまえばいいわけだし、もし人が宙に浮くようになればソファだって必要なくなる。それなら家具屋は何をすればいいかというと、照明を壁化したり人を宙に浮かしたりする装置をつくるのが家具屋の仕事になるかもしれません。家具自体の考え方はどんどん変わっていくでしょう。

最後に、今後の予定などは?

毎年あぐらカタログというものをつくってきたのですが、今年は「絵で見るあぐら」あぐらポストカードブックをつくろうかと思っています。手の平にのっちゃうくらいの小さな絵をみて「あぐらのある生活」の空想にふけってもらえればと思います。新作もみれる予定でいますので、興味のある方はぜひ購入ください。
また今後も、近い将来に目を向けつつ、より快適に生活ができるために、色々と研究開発していこうと思っています。

FURNITURE DESIGN AGRA
住所:札幌市中央区北6条西21丁目1-15
TEL:011-632-8889
info@agra.co.jp
https://www.agra.co.jp

Text: Shinichi Ishikawa

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