アヴァロン

THINGSText: Shinichi Ishikawa

本作は戦車、戦闘ヘリなどは本物の兵器が撮影で使用されていますが、これも全てCGで行うことは考えませんでしたか? 最近はハリウッドでもフルCGの作品が出てきていますが、どう思いますか?

思いませんでした。実物があって始めてCGが生きるのです。したがってフルCG作品には興味ありませんし、映画的にも特にメリットを感じません。

本作で描かれているのは日常がゲームを中心に生活している人物達で、前作「攻殻機動隊」では表の世界には出られない政府の機密部隊でした。その他の作品にも、描かれる題材が非常にアンダーグランドなものを感じさせるものが多いと思います。それはお気に入りのテーマなのでしょうか?

テロリストとか警察官とか、要するに日常を生きる生活者を描く動機がないのだと思います。映画は日常を描くのにふさわしい媒体ではないと思います。

現実/非現実というのは主観的なものだ、というテーマを本作で感じたのですが、そのような意図はありますか? また、本作の犬の役割は現実と非現実(または、パラレルに存在する現実)の橋渡しをする役割なのでしょうか?

主観的、というより客観的に語れるような実在ではないと考えています。犬の存在については語りたくありません。御想像におまかせします。

今回、サウンド・トラックで、オーケストラを全面的に使用した理由を教えてください。

川井君との仕事で、オーケストラを使ったことがなかったので。一度試してみたかった。

「攻殻機動隊」や「アヴァロン」の舞台になっている近未来が、2001年の今、現実に近づいて来ていると感じますか?

映画で描いた未来と現実の未来には何の関係もありません。むしろ現代を描いたつもりです。

今後の予定を教えてください。次作も実写+CGというスタイルを考えていますか?

まだ公表できませんが、多分アニメを監督すると思います。実写ベースのアニメ、という意味ではありません。「アヴァロン」のような形式は、また試してみたいと考えています。

アヴァロン
2001年/日本/1時間46分/ドルビーデジタル・サラウンドEX、DTS-ES/ビスタサイズ/35mm
監督:押井守 脚本:伊藤和典 音楽:川井憲次
制作:デイズ 配給:日本ヘラルド映画
製作:バンダイビジュアル、メディアファクトリー、電通、日本ヘラルド映画
http://www.avalon-net.com

Text: Shinichi Ishikawa

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