NUMER.00

HAPPENINGText: Tomohiro Okada

翌日の朝、荘厳さの名残がなぜか展示を際立たせている(のか展示があわせているのか)「宮殿」の中にあって、 ISEAに対するものとは異なる眼差しを持った、多くはまだ20代のデザイナーや学生たちがまた別の講堂に詰め掛けNUMER.00が始まった。

『最先端でのインタラクティブ・デザインのクリエーターや専門家、オーガナイザーとの日常的なつながりが持てる場が今まで無かったパリで、交流の機会をもたらし、一つのジャンルとしてのインタラクティブ・デザインの向上を果たして行きたい』NUMER.00の提唱者で代表を務めるとともに、フランスでも老舗のインタラクティブ・デザイン・プロダクション、ハイプティークの代表でもあるピエール・ラボイエはこのカンファレンスの意義を語る。

確かに国境を越えた汎ヨーロッパそして米国をも含んだ、インタラクティブ・デザイン/アートの日常的なネットワークが形成されつつある他の欧州各国と異なり、フランスは独自のデザイン・コミュニティーを持ち続けてきたことは事実で、何とか世界中のシーンやコンセプトを直に触れたいという前向きな欲求が高まる中で行なわれたことが、カンファレンスでありながら多くの若い表現者が集まった理由といえるだろう。その期待に応えるべく、欧米そして日本から各視点でインタラクティブ・デザインを語ることのできるゲスト陣とフランスの第一線のアーティストたちが壇上に立った。

「美学」「メタファー」「ダイナミックス」「使い易さ」「語り口」「メタデザイン」という刺激的なキーワードに彩られたセッションはそれぞれ興味深いものであったが、あまりにも語る領域が広大でかつ深く、また、先にあげたフランスの現状と NUMER そのものが最初であることもあって多くを語る必要性が生じ、話が尽きないまままとまらずにそれぞれ終わってしまったのが大きく印象的であった。一つのジャンルとしてのインタラクティブ・デザインを実現するために必要な数々の要素を埋めるための人々が集まったのであるからまとまらなかったのはしょうがないのであるが。

例えば、MTVヨーロッパ2のウエブサイト・デザインで注目を浴びたロンドンのデジット社のダルジット・シンのように、自身が手掛けてきたウエブプロジェクトのデザインとそのファンクションを紹介したり、フランスでは未だ盛んであるCD-ROMによるインターフェイスとコンテンツ・デザインをフランスの電子音楽史を紹介する作品など多数のカルチャー・コンテンツを手掛けているエティエンヌ・アウガーが紹介するなど、作品事例の紹介にとどまるものもあった。

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