アーキテチュラ:映像と現代建築と電子音楽によるイヴェント

HAPPENINGText: Jiro Ohashi

シネプレックスは、エレクトリックギターのメンバーと共にステージに上がり、同じく建築物のスライドショーが投影されるスクリーンに対して、オルタナティブな80年代初期のニューウェイブ・サウンドを披露した。しかし椅子に座ってステージを見つめる観客と、ステージでプレイされるサウンドのギャップが大きく、ライブの躍動感が会場を満たすまではいかなかった。

そして最後のパナシアは、映像こそ変わらない建築物のスライドショーだが、一人堂々とスポットライトを浴び(それまで他の演奏者は、バックステージのスタッフのごとく控えめにステージでプレイしていた)、残忍かつ過激でインダストリアルなブレイクビーツでドラムンベースを演奏し、重低音でうねるベースラインとハードコアサウンドは会場の雰囲気を一変させた。

短編フィルムとサウンドアーティストの組み合わせからなる4つのパーツを見てみると、実験映画を見るような苦痛や単調さもあれば、アンビエントサウンドとミニマリズムを全面に押し出したテーマ性の美しさもある。それは一般的な「映画」というエンターテインメントとは違った、建築物(人工物)と電子音楽との共同作用の探求なのだが、4つのパーツをトータルで見てみると印象もまた違ってくる。単体では正直疑問の残る各ステージも、作品全体の構成部品としては十分に機能しており、そこには「アーキテチュラ」というひとつの作品が立ち現れる。そしてこの作品を監督するイアラ・リーという映像作家の存在が、観客の印象に大きくクローズアップされてくる。

ARCHITETTURA
日時:2000年9月23日 17:30開場/18:00開演
会場:NTTインターコミュニケーション・センター
住所:東京都新宿区西新宿3-20-1 東京オペラシティタワー4F
入場料:2,000円(税込)*当日券のみ
TEL:0120-144199(フリーダイヤル)
https://www.ntticc.or.jp

Text: Jiro Ohashi

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE