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ウォン・サン・モン

PEOPLEText: Calvin Ho

ここ数カ月で、香港のデザインが日本にインパクトを与えている。東京のスパイラルで開催されたイベント「香港オルタナティブ・アートショー」に行ってみた人もいるだろう。展示する人を選べば、もっとこのショーは広がりを見せたことだろう。名声を得るべきアーティストが他にも沢山いるはずだ。

ウォン・サン・モンは、香港のシャティン・テクニカルカレッジを卒業後、今日まで6年間デザイナーとして仕事をしている。彼の最も評価された仕事は、3年前にシャララ・デザインスタジオで働いていた時のもので、今はフリーのグラフィックデザイナーとして活動している。その前は、ダブルXワークショップで仕事をしていたという彼にインタビューを試みた。

最も影響を受けた人はいますか?

昔のものが好きです。僕は、いわゆる「トレンディー」なデザイナーではないので、そういった意味ではシンプルなデザインの方が好きです。他のものに対してオープンじゃないという意味ではないですよ。ただ1種類のデザインのみをやるのが好きではないだけです。オランダのウィム・コーンウェルなど、オランダやドイツのデザインが好きです。

世界と比べて、香港のデザイナーについてどう思いますか?

香港のデザイナーは自分達の殻に閉じこもり過ぎだと思います。デザイナー間のコミュニケーションや、インタラクティブ性といったものがほとんどありません。海外のデザイナーはもっとオープンマインドだと思うのですが、香港では「僕の作品を盗むな」といったように、自分達の作品を守りすぎで、他の才能のある人達と一緒に何かをやると、名声が減ると考えています。僕は今29歳で、生まれてからずっと香港に住んでいますが、特に香港独自のものと言えるようなカルチャーはないと思います。香港の歴史の中から何かつかみ取ろうとしても、特別なものは何もないです。

デザイン会社で働いていた頃には、あまり考える必要もなかったですが、今は違います。例えば、スロー・テック・リディムのニューアルバムのレコードジャケットなどは、クライアントがなかったので、やりたいことは何でも試すことができました。「何をしようか?」「まずは自分達のまわりから始めよう」、こんな感じで自分自身に問いかけながら作業していました。

デザインに対しては、どのようにアプローチするのですか?

仕事によってアプローチの仕方は変わってきます。それぞれのデザインに対して別のアプローチで取り組んでいます。自分をあまり出すことができない仕事ももちろんあります。デザイン自体が機能を持つものである場合には、機能性に重点を置き、そういった見方で取り組みます。でも、デザインには美しさが必要で、それはとても重要なことだと思います。

最も印象的だった仕事は何ですか?

ウォン・カーウァイの映画「ハッピー・トゥギャザー」のサウンドトラックのデザインです。最終的に仕上がるまでに7〜8パターンのレイアウトを制作しました。すごく面倒な仕事に思えるかもしれませんが、ものすごくやりがいのある仕事でした。ひとつデザインし、それが没になるとまた最初に戻る。デザインに再びアプローチするという作業は、何て健康的なんだろうということを実感させてくれましたし、すごくいい経験でした。改良の必要があるかどうかを確認するために、過去にやった仕事を振り返るということは決してしませんが、クライアントに気に入ってもらえなくて没になったデザインにも思い出があります。

将来の予定を教えていただけますか?

たぶん、クラブのプロモーションのデザインをやっていると思います。でも今のところ将来については想像もつきません。

Text: Calvin Ho
Translation: Mayumi Kaneko

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