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フリフリカンパニー「フリフリタンカ」展

HAPPENINGText: Chibashi

マンガの手法で描かれた仏教の神々が、テクノの文脈を持った緻密な曼陀羅を背景にしているこれら未来の仏画は、印刷やモニター、プロジェクターのどのアウトプットで観るよりも厳かに観客を包み込む。神々(キャラクター)を描いたのは佐戸川美穂、そして背景は伊藤逸雄、画面づくりのコンセプトと展示計画は程といった具合に、作業は全く分業で制作されている。

また、山田タロウによる白地のエンボス処理に銀の箔押しがされている非常に完成度の高いダイレクトメールも印象的だ。こうした全く破綻がないチームワークで、一見相反するデジタルと仏画の文脈を調和させていく仕事を観ると、今回の “スピリチュアル・マンガ・スタイル” が気負ったコンセプトではなく、彼等にとってそれは消化された世界観なんだということを実感させられる。

正直僕はこの展覧会を見るまで、デジタルな手法が実の空間に本当に耐えうるのだろうかと思っていた。細部は省略して画面自体を大づかみにとらえる油彩的な世界とは違い、今回のデジタルツールで描かれた仏画群は日本画や曼陀羅などのアジア文化圏の持つ緻密な線と構成的な画面と相性がいいらしい。神々はマンガのタッチで描かれているが、堅牢な画面構成の中でマンガ性やテクノ、SF的な未来的なコスチューム、そして露出度も高い美少女から、生々しさが見事に昇華されている。そして大きな出力によって均質に描き込まれた細部は観る者を引き込んで離さない。

今回の展覧会の試みについて程は「デザイン系なのかファイン・アート系なのかというどっちつかず感があるかもしれない。でもこれに固執する気はないし、いつでもバックパッカー精神でやっている。」という。しかしどっちつかずというよりは、今回の試みでフリフリは両者を橋渡しするような表現を得たとも言えそうだ。実際一部のアーティストを除いては、この2つの世界のクリエイターはそれぞれ違う活動をしているし、そのファンもそれぞれ別である。そしてプロ集団として商業的な現場で頑張るフリフリとしては、クライアントのいない今回のプレゼンテーションは、広くクリエイター達への宣戦布告とも言えるかもしれない。「かわいいだけじゃない、かっこいいフリフリっていうのもあるってことで」と笑いながらも程はいつも真剣に語る。

フリフリのファンを集めて渋谷XPで開かれたラウンジパーティも大盛況だったらしい。こうしたカフェ的な企画の可能性も多いに考えていきたいと語っていた。

今後この “スピリチャル・マンガ・スタイル” の作品をひっさげてフリフリは再び海外に進出する。海外の人にどう評価されるかが非常に興味深いところだ。今の日本人を象徴するモチーフが集結したこれらの作品が語るものは多いと思う。

フリフリカンパニー「フリフリタンカ」展
会期:1999年11月2日(火)〜14日(日)
時間:11:00〜19:00(最終日17:00まで)
会場:HARAJUKU GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前2-30-8 中山レジデンス306
TEL:03-5414-5443
https://www.furifuri.com

Text: Chibashi

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