ジェレミー・ホリスター

PEOPLEText: Mayumi Kaneko

建築にずっと興味があって、サーリネンやニーマイヤーなどによる現代建築物が、空間のフォルムとコントラストの美しい手本になると考えました。また、これらのフォルムと空間に対するアイディアを高めるために、異なった建築上のアイコンや広大な空間、モデルと女優の最小限の動きを使ったライブアクションを通して探求すれば、面白いことになるだろうと考えました。ビジュアルテーマを確実にするために背景に白を使い、色を白と青に限定しました。

目的は、ライヒの作曲法にある音色のバリエーションを反映しつつ、鍵を握るテーマがほんの少しの変化で繰り返される、漠然としたビジュアル・サウンドスケープを作り出すことでした。

このビデオで、3Dアニメーターでありディレクターである、パトリック・オブライエンや、デザイナー、エディー・パク(SUCTION)ら素晴らしいクリエイターと共に仕事ができたことは、とてもラッキーでした。全てがコラボレーション次第であるメディアにおいて、このビデオのような大きなプロジェクトに取り組む時には、いいチームがいるということは、とても重要です。

プロデューサーのアダム・シュロスバーグ、撮影監督のジョン・ソーヤーやカラーリストのクリス・ジェナレリ、エディターのジェームス・マツロ、モデルのH.D.、メイクアップアーティストのキム・ベイマンも、このプロジェクトに参加しました。制作には35ミリで撮影し、AVIDで編集しました。3DにはSGIのソフトイメージとNT。グラフィックと合成には、MAC G3のアフターエフェクツを使い、ディスクリート・ロジック・インフェルノをSGIオニックスで使っています。

アメリカのブロードキャストデザインシーンについてお聞きしたいのですが、面白い動きや、代表的なプロダクションを教えてください。

ブロードキャストデザインがブームになっています。この分野に対するテレビジョンネットワークの意識が高まり、プロモーションビデオを制作するデザイナーが沢山います。全体的にここ4年間のアメリカでは、テレビジョンのためのデザインが確立し始めていると思います。

大企業の中でもカイル・クーパーとイマジナリー・フォーシズは、自分自身の考えを表現していて、いつでも面白いことをやっていると思います。DOOMの「LEGION」や「V12」などの小規模なカンパニーも台頭してきています。SHOWTIMEやMTVも同様に、組織内にいいデザイナーを多く抱えています。

ブロードキャストデザインは、今ちょうど面白い時期にあります。エキサイティングで異なった発展を見せる間際にあると思います。

今興味のあることは何ですか?

ファッションにとても興味があります。その全体的なアイディアは、とても曖昧で柔軟性があり、ファッションのムードがシンプルさとミニマリズムの必要性に反映するものだと思います。でも同時に、イッセイ・ミヤケやファイナル・ホーム・レーベルなどのデザイナーのやり過ぎなジッパーや触感はクレイジーですが、彼が音楽レーベルと共にニューヨークにショップをオープンしたのは、面白いです。音楽とファッションをミックスするという独自の道を行っているという点で、意味があると思います。

音楽は僕の存在の主成分で、いろいろな種類の音楽を聞きます。特にブラジリアンやアフロビート、アシッドジャズ、エレクトロニカなどのグルーブ感のあるものが好きです。好きなアーティストは、ユナイテッド・フューチャー・オーガジゼーション、ジャズノヴァ、フレデリック・ガリアーノなどです。リミックスカルチャーの洗練には、驚くべきものがあります。曲に対するバリエーションと解釈を沢山与えてくれます。自分自身でDJもやっていますが、他のクリエイティブなアウトレットを探求するいい方法になります。

フィルムにも興味があります。反語的かもしれませんが、エフェクトが多すぎる映画は、あまり好きではありません。いいストーリーにひねりが加えられていて、心理的な緊張感があるものの方が好きです。ドイツ映画、「ランローララン」は、エンターテイメント性がある一方で、現実性における一時的でポストモダンな理論があって、面白かったです。大友克洋の「アキラ」も素晴らしいです。

他に好きな監督は、タルコフスキー、バーグマン、キューブリック、ジャームッシュ、ジャネット&カロ、フェリーニ、ウオン・カーウァイなどです。

もし、他の土地で活動するとしたらどこに行きたいですか?

日本には何度か行ったことがありますが、日本の映画関係やアーティストと一緒に仕事をするために行ったわけではありません。実際、ミュージックビデオを作ってみたい日本のミュージシャンも何人かいます。
ヨーロッパは、かなりエキサイティングですね。特にイギリスには、美しいデザインとものすごく賢い広告を展開している人達がいます。オーストラリアも音楽とデザインでいい物を作っています。

最後に今後の予定、やりたいことなどを教えてください。

来週、ストックホルムにバケーションに行く予定です。何をするかは、全く決めていませんが、いいデザインとファンキーな家具、強いウォッカに期待しています。

ミュージックビデオをもっと沢山制作して、ナレーティブのアイディアを、それがデザインコンセプトとどう結びつくかを観察しながら、もっと深く掘り下げて行くつもりです。リミックスという点で言えば、音楽を作ったり、リミックスをしたりして遊びたいです。

Text: Mayumi Kaneko

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