ニック・フィリップ
PEOPLEText: Mariko Takei
いろんなメディアでレイブ・シーンを語る時にニックの名前をよく聞きますが、そのことについてどう思いますか?
レイブ・カルチャーとかニューエイジ、テクノロジー・カルチャー、すごくマッシブだよね。何千もの人がそのムーブメントに関わってて、僕はその一人にすぎない。もちろん自分の作品を通してそういった流れに関わり合ったり、考えたりする機会があったわけだけど。
ビジュアルでもコンセプトでも作品のなかで表現していこうってね。僕は常にそうしてきたし、その時考えつくアイディアが何か又、何が重要かってことに正直になろうとがんばってきてる。だからっていうのもあると思う。いつも自分の真意に近いところに居ようとしたし、その真意は常に自分の中でカッティング・エッジで興味あるどんな事に向いていて、一度はそれがレイブ・カルチャーだったんだ。
レイブ・シーンだけに限らず、クラブ・シーンでも必須アイテムのようになったアナーキックのTシャツを手がけたわけですが、最近Tシャツのデザインはしていますか?
ここ最近はやってないんだ。最後にデザインしたのが「SHIFT」っていう「ワイアード」誌のために手がけたもの。マックのアイコンをデザインしたもので、テクノロジーと社会をアイディアとしたデスクトップのメタファーみたいなものかな。でも今新しいTシャツのアイディアがいくつかあって、ポスト・ヒューマンのアイディアなんだけど、それはやっていこうかなと思ってる。東京でも何人かと話ししてて、アメリカに帰ったら始めるつもりです。
何が起こってるかとかいったメッセージを受けるのに、Tシャツって本当にすごいメディアだと思うんだ。僕はTシャツデザインができるからただ単にやるんではなくて、アイディアを整理して、頭に浮かんだアイディアを調整して、それからデザインしていく。ずっと考えてきてはいたんだけど、最近になってアイディアも十分に蓄えつつあるし、Tシャツラインかなにかやってみようかなって先がみえてきたから、来年くらいにはやるかもね。
DJや、Tシャツデザイン、音楽、CGと様々なメディアを通して作品を展開していってますよね。
ええ。沢山のメディアを駆使している。Tシャツ、プリントやスケートボードのデザインとか洋服、映画やマルチメディア、ヴィデオなど僕にとってはアイディアがメディアを超越しているんだ。いいアイディアが浮かんだら、様々な方法で表現していける。様々なメディアがアイディアに対して違った媒体となっているだけなんだ。それでいろんな分野のスペシャリストと組んで、彼等から学んで、いっしょに仕事してコラボレートする。そうすることで自分のアイディアをいろんなメディアを通して表現する方向が見つけられる。一つの分野の専門となる人が多数だけど、そういった人達から沢山のことを学べるんだ。ラッキーにも僕はそういったチャンスがあって、アイディアを絞りこんで、いろんな方法でそれを表現していくことができた。僕にとってはアイディアが一番重要なんだ。
今後のプロジェクトについて聞かせて下さい。
「The End of Man」のアイディアでプロジェクトを進めようと思ってます。音楽やインタラクティブ・アニメーション、もしかしたらDVDとか。あとギャラリーインスタレーションもね。それが今後のメインテーマかな。
Text: Mariko Takei
Special Thanks to Hisanori Gogota