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スリーズ・ネーション

PEOPLEText: Nicolas Roope

オフ・ビートの刺激、ポスト・ドラッグカルチャーともいうべきもの…。僕らはもうドラッグなんて知ってしまっている世代だし。もっともっとオープンになって、曖昧なものを探究していくべきなんだ。

トリスタン:もう本当にドラッグは語るようなものじゃないよね。他のメディアはまだドラッグをトピックとして扱っているけど。

スティーブ:こういう誇張ばかりしているメディアは、もう誰の事も馬鹿にできないはずだ。みんなはもう自分自身で物事を決めているし、自分自身で励ましているんだ。だから僕らは違う事をやっているし、闘争とか集団とか、曖昧なテーマをランダムに扱っている。こういう事が好きな人は、読めば元気が出たり楽しめたりすると思うよ。たとえ何かを死ぬほど欲しくたって。

ジャスティン:「スリーズ・ネーション」は一つの考えに人々を押しやるような事をしないから、とてもリフレッシュできるんだと思う。こうであるべき、とか言わないところが。これについてどう思おうと、何を見ようと、単純に楽しめる。なぜなら読んだ後で何かを買わされているような事にはならないから;読んで、なんだか自分はいいように売られているような気分にはならないよ。

「スリーズ・ネーション」は他のスタイル誌や音楽誌の中でも傑出した存在だと思う。クラブの空虚な世界を、スタイル誌や音楽誌のようではなく、まるで「ガーディアン」誌のように読めるテキストで表わす事に成功していると思うのだけれど。これは一体どうして?

スティーブ:クラブカルチャーは、もう特別ハイブロウな事じゃない。バランスをとりはじめているんだ。人々は本当にクラブについて読みたいと思っているわけではないし、オフビートの刺激を求めているんだ。

トリスタン:音楽誌がどんどん悪くなっていっているのは、基本的にクラブってのがそんなには面白くないところだから。確かにクラブには書けるネタが沢山あるけどね。クラブ産業に携わる人がみんな、神に向かっていってるなんてウソだよ。雑誌はリストアップしているだけ、クラブカルチャーのルーツを考えてはいるけれど、その終焉を考えていない。

(誰かが「ミニストリー・マガジン」の事を持ち出した)

ジャスティン:これみたいなので別の雑誌を出版したとする。誰が気にする?誰も気にしやしない。クラブに行き、服を買い、これを買い、あれを買い…。くだらないよ。こういう雑誌はもう誰も欲しくない。

そのほとんどを広告が占めているスタイル誌や音楽誌に慣れすぎてしまった事から、大きな変化を遂げようとしている彼等と話せた事は、僕にとって衝撃だった。パブでジャスティンは、彼等がどれだけ表紙にスターの顔写真を使わない事にこだわったかを話してくれた。スターが表紙にあることで目をひき、売れるという幻想からの逸脱。
いい雑誌だ。本当にカッコいい雑誌だ。すでに僕は死ぬほど好きだ。
もしこれを喉から手が出るほど読んでみたいと思うなら、ポール・スミスが日本を通過したブランド、R.ニューボールドのショップにいけばあるかもしれないよ。

Text: Nicolas Roope
Translation: Atsuko Kobayashi

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